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■ ちょっぴり県外35 国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市) その12009.12.12

訪問日;2009.12.06

国立歴史民俗博物館(歴博)」では企画展示「縄文はいつから!?−1万5千年前になにがおこったのか−」を開催している。
前日の雨は上がり、お出かけ日和だ!!!「くらしの植物苑」ではサザンカも見ごろだっていうし!
初めての施設だあ。楽しみだ!

入館してから企画展のチケットを購入する。小中学生は無料。土曜日なら高校生も無料なんだよね。
常設展示は展示室が第1から第5まであり、これを見てから企画展示を見ればルート的にはいいんだけど、まずは地下1階まで下りて企画展示を見る。

1万5千年前になにがおこったか。
文化は生活の中で生まれるもの。そして生活は自然環境と密接に結びついている。
約1万5千年前、地球が温暖化する。どれくらい温暖化したかっていうと、わずか50年ぐらいの間に、日本列島では平均気温が4〜5度上昇したらしい。これ、今時の温暖化問題どころの上昇じゃないよねえ。そして、それまでの針葉樹林から落葉広葉樹の森へと植生が変化していく。この植生の変化、重要だよね。旧石器時代のナウマンゾウやマンモス、オオツノジカ、ヘラジカ、バイソンなどの大型動物が姿を消し、シカやイノシシなどが増加する。
ここでは旧石器時代の出土品として、茨城県土浦市の花室川流域から出土したナウマンゾウやバイソン、ニホンジカなどの骨が展示されている。

さて、こうした中、世界最古の土器の一つ、縄文土器が生まれる。
日本最古の段階に位置づけられる土器は青森県の“大平山元T遺跡”から出土している。“無文土器”で、“大平山元T遺跡”は1万6000年前から1万5500年前の遺跡と推定されている。あれ?気温の変化の前の遺跡?氷河期だよね?周りは針葉樹林。どんぐりなどの堅い実を煮炊きするのに土器を作るようになったとも考えられず、食料の調理の補助的な道具として土器が作られたと考えられている。これは縄文土器ではないのか?

その後、土器は列島各地へと普及していく。
初期のころ(1万5000年前ごろから1万1000年前ごろ・縄文草創期)は、指でひねったりつまんだり押したりして模様をつけた“隆線文土器”が作られるようになる。
このころの遺跡からは石槍や石鏃(せきぞく)、磨製石斧、石皿、磨石(すりいし)なども出土している。これらの道具を使うことで、安定的に食料を確保できるようになり、定住へとつながっていく。
また、ヴィーナス像も出土していて、精神文化も一般化した。1万3000年前には土偶も作られている。
やがて、1万1500年前ごろから撚糸文(よりいともん)土器が大量に作られるようになり、縄文早期へと移っていく。

土器そのものは旧石器時代に出現。この時期の遺跡からはほとんど土器が出土していないことから、土器の装備は特殊な事例だったのでしょう。
そして、1万5000年前ごろの急激な温暖化(その後、寒のもどりもあったようだけど)。広葉樹林が広がり、どんぐりもた〜くさんなった。大型獣もいなくなっちゃったから、どんぐりいっぱい食べないと。そこで煮炊きに便利な土器。いっぱい作っぺ!土器を標準装備した生活が始まった。この便利な土器、どうやって普及していったのかなあ?縄文人、遠方にまで赴き土器を伝えていったのかな?暖かいと活動範囲も広がるよね。きっと。
こうして土器は大量生産されるようになった。な〜んてね!

“自然科学からのアプローチ”というコーナーもある。
文字記録のない時期の年代測定は“炭素14年代法”によって行われている。自然界には炭素12・炭素13・炭素14の3種類が存在するが、炭素12と炭素13は安定しているのに対し、炭素14は不安定で放射線を出しながら規則正しく壊れていく。この性質を利用したのが“炭素14年代法”。土器に付着した炭化物などを採取し、それを“炭素14年代法”で測定して、土器の作られた年代を測定しているんだねえ。この他、“熱ルミネッサンス年代測定法”という年代測定法も紹介されている。
土器の粘土や混和材を調べるのには、“蛍光X線分析法”や“中性子回析法”などが用いられている。
色々な科学技術を用いて、縄文の生活が明らかにされていくんだね。

そして各地の縄文遺跡からの出土品(茨城からはひたちなか市の遺跡からの土器や石器などの出土品)の紹介を経て、展示は“縄文はいつから”という問題の結論で終わる。
縄文の始まりをめぐる時代区分については、次の3つの考え方がある。
@土器の出現(無文土器の段階)をもって縄文時代とする考え方。これだと、約1万6000年前、旧石器時代に縄文文化が始まることになる。
A土器が出現し、広域的ネットワークが形成され、定住化が促進された時期(隆線文土器の段階)を旧石器時代からの移行期と捉え、次の植物質食料加工技術や土器の大量保有(撚糸文土器の段階)をもって縄文時代とする考え方。縄文時代の始まりを最も遅く捉えた説で、これによると、縄文時代の始まりは1万1500年前ぐらいになる。
B土器が出現し、広域的ネットワークが形成される前までを旧石器時代とし、隆線文土器の段階からを縄文時代とする考え方。この説をとれば、1万5000年前に縄文時代が始まることになる。
@の説を採れば、日本最古の段階に位置づけられる“大平山元T遺跡”の土器は縄文土器であり、他の2説を採れば縄文土器とは呼べない、ということになる。結局は縄文文化をどう捉えるかによるわけで、“絶対これ”はないのかもね。
まあ、縄文の始まりがいつであれ、縄文人の文化の豊かさは目を見張るものがある。

子どもたちは子ども向けのプリント“ジョーくんはなにを持っているのかな?どうやって使ったのかな?”をもって展示を見る。
縄文人の“ジョーくん”のイラストが載っていて、背中にしょっている長い棒、右手に持っているもの、羽が付いている狩りの道具、左手に持っているもの、毛皮の服、の5点を展示の中から探して答えを書くというもの。子どもが展示をよく見るのに、こういうのっていいよね。プリントの裏面を見て答えあわせをする。
縄文人の復元コーナーもあって、これは触れる。着ている服はシカの毛皮で、結構毛が硬い。

企画展示、内容はちょっと専門的。ただ、小学校の教科書から縄文時代が消え、いきなり弥生時代から歴史を勉強するという“えええええっ〜”って感じの状況の中、子ども向けプリントもあることだし、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。


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