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■ もっともっといばらき リポート346 茨城県立歴史館(10)2011.10.25

訪問日;2011.10.22

茨城県立歴史館」で今月15日から開催されている特別展T“妖怪見聞”に行ってきたよ〜。

エントランスホールのところには、“陰陽師と式神・外道(おんみょうじとしきがみ・げどう)”という復元模型が展示されている。
陰陽師である安倍晴明が重病人の平癒(へいゆ)を祈祷する様子を描いた「不動利益縁起絵巻」での場面を復元したもので、入館記念の日付入りの看板もあり、ここだけは撮影可能!


第1章 妖怪あらわる!…イメージされた妖怪の歴史…

奈良時代から平安時代にかけて、「山海経(さんかいきょう)」という中国の書物が輸入された。これには奇奇怪怪な神々の姿や妖怪の姿が描かれ、これらの姿を若干変えながら、天狗や鎌鼬(かまいたち)、河童などの姿が日本に定着していったとされている。
この章では、妖怪たちを具現化した絵巻物や錦絵、漫画、図鑑、草双紙、読本(よみほん)がた〜くさん展示されている。
妖怪の錦絵で有名な歌川国芳(うたがわくによし)が描いた「相馬の古内裏(そうまのこだいり)」やエントランスホールの復元模型の元となった絵巻物も見られるよ。


第2章 妖怪出没す!…伝承された妖怪の跫跡(あしあと)…

山里に棲む妖怪 鬼、海辺に棲む妖怪 人魚、奥山に棲む妖怪 天狗、海辺に棲む妖怪 河童。
それぞれの姿形を描いた絵図や像だけでなく、ミイラも展示されている。これは見ものです!結構不気味ですが!UMA(ユーマ)伝説の本なんかにも載ってるヤツもある!
また、河童の絵が有名な小川芋銭(おがわうせん)筆の「ひかるゝ烏天狗(からすてんぐ)」も展示されているので、お見逃しなく!


第3章 いばらきに棲む妖怪…茨城の伝承にみる妖怪…

いばらきにも、妖怪の伝承は多い。

山などで天狗の起こす現象と出会ったという民間伝承も数多く、信仰の対象となっている。
天狗信仰は山間部だけかと思いきや、“あんば大杉(おおすぎ)の天狗”のように、利根川水系流域の水運業者からは航海神として崇められてきた天狗もいる。

河童は沼や川に引きずり込む、という恐ろしいイメージが強いけど、中には恩返しの話もある。「牛久沼の河童松」の話。悪さをする河童を捕まえて松の木に縛り、殺そうとした。命乞いをする河童。もう、悪さはしない、村人の水難の一切を除くと約束する。河童の害はなくなり、そのとき河童を縛った松の木を「河童松」と呼ぶようになった。この話は前述の小川芋銭が学術誌「郷土研究」に寄贈した昔話がもとになっているそうです。
河童を助けたお礼に製法を教わって作られた「刺抜きの家伝薬」や「岩瀬万応膏(いわせまんのうこう)」なんていうものもあって、これらの薬、なんと、現在でも製造されているそうです。販売はしておらず、必要な人には無料で分け与えているらしい。また、腕を返した河童から秘法を教えてもらい作ったとされる「筋渡薬(すじわたしのくすり)」も平成21年まで作られていた。打ち身、捻挫などに効能があるらしい。
それから、“河童の手”と伝えられている水かきのある手や、“河童の肋骨証文(手形)”なんていうものも展示されている。

土蜘蛛は、身長が低く手足の長い洞穴に住むという先住民を異類視した名称で、「常陸国風土記」の茨城郡には山の佐伯、野の佐伯という国巣(くず)、久慈郡には薩都(さつ)の里の国栖(くず)の記載がある。どちらも新勢力拡大の背景の中で、先住民がツチグモという妖怪に比喩され殺戮された、という歴史が記述されている。
鬼もまた、古代においては政権に従わない地方の勢力や漂流した異民族を指し、「常陸国風土記」の久慈郡には、魑魅(おに)の記載がある。
他者を受け入れない。古代の日本でも行われていたんだよね。

この他にも雷獣や妖狐、海坊主などに関する絵図や書、新聞記事などが展示されている。


終章 妖怪と幽霊…定義された異界のモノたち…

妖怪と幽霊は異なる。図録によると、「妖怪は動物や草木が化けたモノや人間が作り出したものが古びて変化したモノ」とされるのに対し、「幽霊は死んだ人間があたかも生きているかのように人間に似た姿で、あの世から立ち返ってきたモノ」とされている。
これらの区分がなされたのは明治以降のことで、ここでは学術的、民俗的見解や幽霊の絵図などが紹介されている。
民俗学といえば、やはり柳田國男。遠野物語が有名だけど、北相馬郡利根町に住んでいたこともあり(13歳〜16歳ぐらいのとき)、茨城縁の人なのだ!


特別展に来ていたのは、ご年配の方々ももちろん多いけど、小学生ぐらいの子供づれファミリーも結構多かった。
歴史館のイチョウが色づき始めている。11月3日からは“歴史館いちょうまつり”も始まるし、今月30日には“妖怪カルタ遊び!”などの特別展関連行事も行われる。
家族で歴史館の妖怪に会いに行ってみてはいかがでしょうか?


参考;ちょっぴり県外54 東京国立博物館(5) その3
参考;ちょっぴり県外55 国立歴史民俗博物館(2) その4




そうそう、2階常設展示出口のところでは「塚原卜伝」の文書も公開中。
鹿嶋市では「剣聖・塚原卜伝」をNHK大河ドラマで、というキャンペーンを張ってがんばってきたけど、NHKのBS時代劇という形で、初の映像化が成し遂げられた。塚原ト伝は鹿島神宮の神職の家に生まれた戦国時代の剣術家で、鹿島新當流の開祖となった人物。剣聖として有名なのに、何故か映像化されてこなかった。今回“大河”、ではなかったけれど、映像化されたのは喜ばしい限りです。
若き日の「塚原卜伝」を演じるのは、実力派俳優の堺雅人さん。ポスターのお姿、凛々しいですねえ。来館したようですねえ。エントランスホールのところに、サインも飾ってある!
これを機に、鹿嶋の「塚原卜伝」の知名度が益々上がり、いずれは大河も夢ではないかもしれないですね!
こちらの文書もお見逃しなく!
(参照;鹿嶋市ホームページ>塚原ト伝全国キャンペーン実施中