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■ ちょっぴり県外66 東京国立博物館(7)(東京都台東区上野公園)2012. 4. 8

訪問日;2012.04.01

午後からは「東京国立博物館」の特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」 を見に行く。

ボストン美術館は45万点以上のコレクションを誇る世界有数の美術館で、仏画や絵巻物など海外の美術館では他に類を見ない数の日本美術を所蔵している。また、岡倉天心が在職したこともあり、日本美術とのかかわりがとても深い。
図録、その他諸々によると、ボストン美術館の日本美術コレクションには、フェノロサやモース、ビゲロー、そして岡倉天心(参照;もっともっといばらき りポート353)といった面々の活躍が大きい。

フェノロサはボストン美術館付属美術学校で絵画を学び、美術教育に対する関心を育んでいた。東京大学の教授として来日し、政治学や哲学の講義を担当しながら日本の美術に強い関心を寄せ、その収集と研究に傾倒していく。
明治維新後間もない時代で、盲目的な西洋崇拝の風潮の中で日本の古美術が軽視されていた。近代化を急ぐあまり、廃仏毀釈によって仏像や仏画などの貴重な文化財が破壊され、多くの寺院が困窮を極めていたのである。あの興福寺の五重塔でさえ、売りに出され、薪にされそうになっていたらしい。ひえ〜〜〜!!!
そんな中で、フェノロサは国家による保護が必要であると強く感じた。フェノロサは日本で収集した「平治物語絵巻」、俵屋宗達筆「松島図屏風」などの膨大な美術コレクションをボストン美術館に寄託(後に資産家のウェルドが買い取り、寄贈)する。

フェノロサだけでなく、大森貝塚発掘で有名なモースは日本陶磁器約5千点を収集し譲渡。
ビゲローは当時の日本の画家や美術研究者に援助を差し伸べ、岡倉天心の日本美術院創設に際して2万円を寄付するなど、日本の美術界の発展に貢献した。また、奈良時代絵画の貴重な遺品である「法華堂根本曼荼羅」を筆頭に多くの日本の美術品を収集した。ビゲローの寄贈した肉筆浮世絵画700点を含む絵画4000点、浮世絵版画は約34000点に上る。

しかしながら、皮肉なことに、日本美術の散逸の防止としての収集活動は海外流失を生むという矛盾を生じてしまう。フェノロサ、そしてその弟子であり、後にボストン美術館の中国・日本部長となった岡倉天心にとっての共通の問題となっていく。

展示は、というと、日本初公開となる曽我蕭白(そがしょうはく)の最高傑作『雲龍図』をはじめ、長谷川等伯(はせがわとうはく)、尾形光琳(おがたこうりん)、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)などの迫力のある作品が、私たちの目を楽しませてくれる。
また、「吉備大臣入唐絵巻」は遣唐使吉備大臣の活躍がおもしろく、まるで活きているかのような火を表現している「平治物語絵巻」も圧巻だ。
この他、仏画や仏像、日本刀、小袖や振袖などの和服、・・・。様々なコレクションが展示されている。

ボストン美術館が大量の日本美術品を所蔵するに至った経緯はともかく、あの時代、もしそうしなければ、今私たちはこれらの素晴らしい作品を目にすることはできなかったかもしれません。保存しておいてくれてありがとう!!!
再び、自国の文化を軽視するような動きが起こらないことを願ってやみません。
これを機に、世界も注目する日本の美術、芸術、文化について改めて考えてみるのもいいかもしれません。海外にも素晴らしいものはたくさんある。そして、日本もそれに引けをとらない素晴らしいものがたくさんあることを、子どもたちにも伝えていきたいですね。

常設展示では“博物館でお花見を”というスタンプラリーをやっている。
館内の“桜”をモチーフにした絵画や浮世絵、陶器、着物などを観賞する。その中で5箇所、スタンプを押すところがあって、全部押し、かわいらしい缶バッジをいただいた。